maxon Story
太陽エネルギーで飛行するドローン


XSun 社は、完全自動化を実現するため、エネルギーに依存しない自律飛行を可能とする無人のドローン機を設計および製造しています。同社は、SolarXOne を設計するために、高い信頼性を発揮し、高性能なサブアセンブリを必要としていました。このスタートアップ企業が maxon に問い合わせを行った理由は、推進システムを構築するためです。
ベンジャミン・デービッド氏は、Airbus Defence & Space 社における 10 年間の経験を活かし、とてもシンプルなアイデアに基づいて XSun 社を設立しました。そのアイデアとは、低高度で使用するための宇宙技術の適応を図ることでした。このアプローチにより、タンデム翼式設計の太陽光発電搭載、電動式、自律型ドローンである SolarXOne が誕生しました。トンボのようなデザインの SolarXOne は、優れた空力性能と広いソーラパネル表面積を備えており、可能な限り多くの太陽エネルギーを収集します。これらすべてが非常に高性能な完全電気環境内に装備されています。
「私たちは、新しい技術と再生可能エネルギー源を組み合わせることで、現在の環境、経済、社会の課題に最もうまく対応できると確信しています」と、ベンジャミン・デービッド氏は言います。さらに彼は、太陽光発電によって搭載バッテリーの寿命が 3 倍になることも指摘しています。
SolarXOne には、人工衛星のように、さまざまなテクノロジーが搭載されています。飛行機とドローンを組み合わせたこの UAV は重量 25 kg、翼幅 4.50 m で、さまざまな箇所に革新技術が潜んでいます。
- 使い易さ: SolarXOne は、ドローンと同様に簡単に操作でき、航空機と同様に高性能を備えています。
- 迅速に飛行準備可能: 30 分で飛行準備が完了します。
- 航続可能距離: 12 時間ノンストップで飛行できます。
- 静寂: ドローンは完全電動であるため、無音で飛行します。
- 優れたハンドリング: 選定された実装技術と組み合わされた空力形状によって実現しています。
- 高い信頼性: ユーザが求める高い信頼性を確保するために、バックアップシステムを搭載しています。
- 低メンテナンス: 全電気式デバイスであるため、メンテナンスはほとんど必要ありません。
- 昼夜を問わず飛行可能: 太陽光発電機で充電される車載バッテリーを装備しています。
- 高い有効荷重 (ペイロード): ジャイロスコープ、高性能カメラ、赤外線カメラ、LIDAR など。SolarXOne は、最新の通信機器および安全技術機器を含め、最大 5 kgの荷重を運ぶことができます。
- 航空規格に準拠したシステム: UAV は最高レベルの認証を受けており、世界中で簡単に飛行許可を取得することができます。
幅広い用途に使用可能
1 日の航続可能距離が 600 km にも及ぶ SolarXOneは、数千エーカー以上を飛行することが可能で、センチメートル精度の画像解像度を実現します。以下は一例です: このため、幅広い分野において多様な任務を達成するポテンシャルをもつ、このドローンへの関心が高まっています。
- 自然保護区など、陸上または海上の広範囲にわたるマッピングと地形図
- 大規模な配管インフラストラクチャ (パイプライン、送電線、道路、河川など) の極めて解像度が高い写真による調査
- 森林マッピングを行うための精密農業における写真調査
- 監視と検査任務
XSun 社はドローンを販売していますが、運用チームを通じて SolarXOne サービスも提供しています。このチームは、データ収集のみを希望するお客様のために、ドローンを飛行させるサービスを提供しています。
「maxon は間違いなく最高水準の要件を満たしてくれます」
効率性、品質、信頼性、耐久性。これらは、SolarXOne の設計の指針となる重要な原則でした。「完全電動設計であるため、すべてのアセンブリでコストとエネルギー効率を追求する必要がありました。そのため、最高水準の製品のみを使用することが不可欠でした。このため、maxon 製の推進システムを搭載する必要があったのです」と、XSun 社の創業者は語ります。推進システムについては、航空宇宙分野と実質的に同じ要件を満たす、極めて信頼性が高く、最高の性能を発揮し、かつ可能な限り最小のシステムを見つけることが課題でした。「これら 3 つにおいて、maxon は間違いなく最高水準の要件を満たしてくれます」。maxon が NASA にロボットモータを供給することは、当然の成り行きといえます!maxon のドローン市場への参入は、同社にとって非常に喜ばしく、maxon との提携関係はすぐに確立されました」。ベンジャミン・デービッド氏はこう続けました。
ドローンが 12 時間以上も完全に独立して飛行できるようにするには、技術全体を限界まで押し上げる必要がありました。XSun 社は、次の 3 つの分野で maxon の専門知識を活用しました:
- コントローラ
- モータ
- 推進システム
2019 年から XSun 社とともに開発に携わる maxon の航空宇宙プロジェクトエンジニアであるミヒャエル・ニーマツ氏は、「エネルギー効率を確保するには、可能な限りの軽量化を維持し、消費量をできる限り削減することが重要でした。これはまさに技術的な挑戦です」と振り返ります。当時、maxon は初代ドローンモータシリーズの発売を開始したばかりでした。XSun 社の要件を満たすため、maxon は自社のブラシレスドローンモータのひとつである ECX 87 Flat の適合に着手しました。
maxon の航空技術プロジェクトマネージャであるルイス・ロスコウ氏は、次のように述べています。「XSun 社と協力して作業を開始したとき、このタイプのモータの設計は基礎情報でしかありませんでした。そのため、開発中の製品をカスタマイズし、センサなどの新しい機能を組み込む必要がありました。当社の経験豊富なチーム (設計エンジニア、テストエンジニア、品質エンジニア、購買担当者、生産担当者) は、適切な解決策を見つけるために、さまざまな技術要件と問題について深く議論しました。最終的に、ECX87 Flat モータの出力を上昇させ、最適な推進力を得るために巻線を変更することになりました。このため SolarXOne には、機体の前部に適合済みの 2 台の ECX87 Flat モータが装備されています。
「SolarXOne が安全に万全を期して都市上空を飛行できるようにするために、XSun 社は可能な限り最高水準のドローンの認証を取得できるように取り組んでいます。ここで maxon の専門知識は重要な役割を果たしました。なぜなら、将来必ず認定される高い信頼性を誇るモータは、卓越した製品品質を提供するうえで不可欠だからです」。ミヒャエル・ニーマツ氏はこう指摘します。XSun 社の創設者はこれに同意し、次のように続けました。「maxon 以外のパートナーでは、同じレベルの品質を達成するのは困難だったと思います。非常に詳細な情報を記載した 25 ページにもおよぶテストレポートを提供できる企業は、実際にはほとんど存在しません」。
2019 年に開催されたパリ航空ショーではじめて出会ったときから、maxon と XSun 社のチームは密接に協力し、共に開発に取り組んできました。2020 年 7 月、SolarXOne は初めて太陽エネルギーによる長距離の飛行に挑み、CO2 を排出せず、完全に独立して 12 時間静かに飛行することに成功しました。それ以来、同社はフランスやヨーロッパの他地域に拠点を置くさまざまなクライアントの運用業務を担っています。
詳細については、次のリンクをご覧ください: XSun.fr