maxon Story
スマートシリンジ
予見 (Predictive)、予防 (Preventive)、個別化 (Personalized)、参加 (Participatory): 「P4医療」はすでに現実のものとなっており、コネクテッド医療機器 (CMD) はその最前線にあります。Transparent Market Researchの調査によると、2016年における価値が約2,500億ユーロに達する生物学的療法の世界市場は、今後も毎年10%ずつ成長すると予想されています。この成長を確実なものにするには、ドラッグ送達用の医療機器が、患者の快適さと安全性を保証するための完璧な信頼性と精度を備えている必要があります。最近の導入例の1つは、電動の「コネクテッド」インジェクターペンで、これはmaxon Franceが誇りを持って主導するプロジェクトです。
電動インジェクターペン: 自律したコネクテッド医療機器
「コネクテッドシリンジ」とも呼ばれるこの電動インジェクターペンは、注射によって患者に薬剤を投与できる医療機器です。WHOは、世界中のほとんどの国で罹患率が増加している慢性疾患である糖尿病の治療に、この機器がとりわけ適していると評価しています。P4医療においては、インジェクターペンは従来の注射器による注射の代わりとなり、使いやすさが向上し、患者の生活の質が向上されます。
これは、遠隔プログラミングが施された自律的なドラッグ送達ソリューションであり、注射される薬物の種類を識別する能力も備えています。このため、この製品は糖尿病の治療だけでなく、もっと幅広い用途に用いることが可能となっています。
ハイテクメカトロニクスのノウハウを応用
maxon Franceと共同開発されたこの製品は、メカトロニクス、成型相互接続デバイス、接続性 (RFID と Bluetooth) における最高の技術をペンほどの大きさの物体に組み合わせた、飛躍的な技術成果を象徴しています。
maxonによる電動化
このインジェクターペンには、直径わずか12 mmというサイズに見合わないパワーを発揮することで好評のmaxonモータDCX12Sが組み込まれています。 maxonのモータは、薬剤注入システムの実現に不可欠な信頼性と精度を保証する高品質のドライブを搭載しており、その品質を保証する存在となっています。
コンポーネントの小型化
このインジェクターペンでは、すべてのコンポーネントがスペースを最大限に節約できるように最適化されています。このハイテクメカトロニクスアセンブリには、特別なギアヘッドとナット・ネジ機構の開発が必要でした。電子機器も小型化を図るため、特別に設計されています。さらに、電子回路をケース構造に直接統合するために、モールド相互接続デバイス (MID) の最新技術が適用されています。
最先端エレクトロニクスとコネクティビティ
この小さな装置には技術力が集積されています。たとえば、NFCテクノロジーを使用して、注射する製品を識別することができます。通信を行うため、ペンはBluetooth経由でネットワークに接続されており、リモートでのプログラミングとモニタリングを可能にしています。また、注射プロセスを追跡するOLEDスクリーンと、患者がいつでも注射速度を制御できる静電容量式タッチスクリーンも装備されています。
maxon France: 医療イノベーションの最前線でプロジェクトを主導
このような成果を達成するため、maxon France は初期段階でお客様の需要を明確に把握するという重要な役割を果たしました。その後、同社は最大限の統合を実現するため、MIDや接続性等、最も革新的な技術要素の研究に重点を置きました。 maxon Franceはプロジェクトに関わるすべてのパートナーも管理し、パートナーの持つ専門知識をさまざまなレベルで適用しました。
- プロジェクトの進捗状況を世界的に監視
- 高性能と効率を両立した最小モータの選定
- 極限の小型化を可能にする統合レイアウトの考案
- 電動化およびネットワーク化された完全電子システムの設計 (サーボ制御、電源、接続用のカスタム電子機器、およびカスタムギアヘッドとトランスミッションメカニズム)
- 選択された技術要素の商業生産に関する専門知識を備えた最良のパートナーの選定
結論
小型化は、医療機器における最大の課題のひとつです。精密モータのサプライヤーとして長年知られているmaxon Franceは、メカトロニクスエンジニアリングの専門知識を継続的に強化し、コネクテッド医療機器の市場に真の付加価値をもたらしています。
インジェクターペンは、同社の高度な専門知識により、設計から商業生産に至る開発サイクルのあらゆるレベルでのコラボレーションを可能にし、複雑なプロジェクトを成功へ導いた好例です。