maxon Story

最先端の手術用ロボット

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手術支援システムda Vinci™S HD(ダ・ヴィンチサージカルシステム)の最新バージョンで使用されている主要構成部品のひとつが、高性能のモータです。そのモータは、低速でもスムーズに機能するという条件を満たしています。

今日、要求度の高い最新式の外科手術には、アメリカ合衆国カリフォルニア州サニーベールに本社を置くインテュイティヴ・サージカル社 (Intuitive Surgical Inc.) のVinci™S HDサージカルシステムが使用されています。このシステムにより最小侵襲の手術が可能となっています。このシステムには運動制御の最先端技術が応用されています。このため、手術器具はまるで経験を積んだ外科医のような滑らかで非常に正確な動きを、極めてゆっくりしたスピードでも同様に行うことができます。Intuitive Surgical社は、da Vinci™S HDシステムを改良するにあたって、市場で手に入る最良のコンポーネントおよび制御要素を採用しました。これにより、非常に複雑な手術を行う場合でも、 da Vinci™S HDシステムを用いた救命手術の信頼性は更に高まっています。このda Vinci™S HDシステムには、39台のmaxonモータが組み込まれています。

高精度サージカルシステム

このサージカルシステムでは、手術用マニピュレーター2つと内視鏡カメラ1台を患者の体内に挿入するため、8 mm~12 mmの小さな切開部が3箇所に必要となります。患者の側に付いているのはロボットと手術助手だけです。実際にシステムを操作する執刀医は、手術室の別の場所に置かれたサージョンコンソールの前に座ります。モニター画面上には、切開手術が「目で見」て「感じる」ように、高精度で再現されます。

da Vinci™S HDサージカルシステムは、手術室に完璧に統合され、手術に参加するスタッフそれぞれの要求に沿ってチーム全体をサポートします。システム全体は3つの主要コンポーネント、つまり操作を行うインターフェース(サージョンコンソール)、手術台脇に設置された手術器具を取り付けるためのアーム(ペイシェントカート)そして画像処理ユニット(ビジョンカート)で構成されています。

da Vinci™S HDサージカルシステムの中核をなすのがサージョンコンソールです。執刀医は、ここから手術を完全にコントロールします。ビデオ中継を使ったその他の技術による実験も多々行われましたが、da Vinci™S HDに並ぶものはないことが判明しています。医者にとって最も大きな難点は、手の動きの方向がミラー反転されてしまうことでした。箸を使って靴紐を結ぶことを想像すると、その困難さがよく理解できます。つまり箸を左に動かすと紐の先が右に移動するのです。従来の腹腔鏡手術では、このような人間の直感に逆らう動きが生じていました。外科医は経験を積みながら、この直感に逆らう動作を習得しなければならなかったのです。

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da Vinci™S HDサージカルシステムが導入されたことで、執刀医はサージョンコンソールの前に座り、それまで無かった 3Dの高解像度画像で手術部位を見ながら施術することが可能になりました。本システムは、高解像度の3Dディスプレイを搭載した世界初の手術ロボットシステムであり、旧モデルの2倍の解像度で表示画像がさらに鮮明になり、組織層や細部の構造の詳細まで見ることができるよう改良されました。InSite™光学システム、高解像度の3D内視鏡、そして画像処理モジュールが、手術部位のリアルな画像を提供します。画像の同期化、高照度の照明器、そしてカメラコントロールユニットにより、手術画像の選択幅が拡がり精細になり、最適化されました。

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またサージョンコンソールでは、執刀医はマスターコントローラ(手術で行われる動きをシミュレートする制御要素)を使って動きを制御します。執刀医が画像表示の下にあるマスターコントローラを指でつかむ際、手首は自然に視界に入る位置にあります。そして執刀医が手を動かすと、その動きが正確にリアルタイムで患者の体内にある手術器具の動きへと変換されます。

手術器具を取り付けられたロボットアームは、従来の手術同様、執刀医の手首・手・指の動きで操作されます。このシステムでは、EndoWrist™が提供する多種多様な器具のラインアップを使用できます。これらの内視鏡用手術器具は人間の手首をモデルに設計されており、動きには7段階の選択肢があります。各器具は止血・縫合・組織の把持など、特定の手術段階のために設計されています。

手術台わきのカートには、執刀医の手の動きを真似るロボットアーム2本と、内視鏡を取り付けたアーム1本が収納されています。追加で3本目のロボットアームを取り付けることも可能です。これにより、執刀医が内視鏡用器具やその他手術の上での必要に応じて器具を追加使用することができるようになります。腹腔鏡用器具は切開部のすぐそばに旋回軸が位置するよう設計されているため、患者の腹壁を吊り上げる必要がなくなりました。それにより組織や神経の損傷を最小限に抑えることができます。手術アシスタントは正しい器具を取り付け、患者の体内にゾンデを挿入する準備をし、手術で使用される腹腔鏡用アームと器具を監視します。

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傑出した信頼性で選ばれるmaxonのモータ

患者の体に開けられた8~10 mmの小さな切開部にロボット器具を挿入して行う手術では、微細な動きを正確に制御することが非常に重要となります。そのマニピュレーターの心臓部となるのが、maxonが開発・製造したDCモータです。

Intuitive Surgical社の生産工学担当マネージャーであるマイク・プリンディヴィル氏はこう語ります。「市場には、製品選択のオプションはたくさんあります。しかしそのなかでもmaxonは強力なパートナーとして、性能・品質に対する私たちの要求を一貫して満たしてくれました」。maxonのモータは、da Vinci™S HDシステムに入力信号/出力信号を送信します。モータとエンコーダは、一連のフィードバック制御を介して、執刀医からの入力信号を受け取ります。この入力信号はシステムコンソール内の電子回路でリアルタイムでコンパイルされ、マニピュレーター内のモータに対する出力信号に変換されます。さらにコンソール内の電子回路を介して、マニピュレーターが執刀医の手に触知可能な抵抗を与えます。

「市場には、製品選択のオプションはたくさんあります。しかしそのなかでもmaxonは強力なパートナーとして、性能・品質に対する私たちの要求を一貫して満たしてくれました」

Intuitive Surgical社のエンジニアたちは、システムにDCコアレスモータRE 25(エンコーダ付き、なし)、RE 13(+GP 13プラネタリギアヘッド、直径13 mm磁気エンコーダ)、RE 35(+他社製エンコーダ)を含む、30個以上のmaxonモータを組み込みました。

maxonのモータはステータ内にレアアース磁石、そしてコアレスロータを使った設計で、磁気コギングを排除しています。旧来の構造を持つモータと比べ、これはとりわけゆっくりとした動作速度における利点となっています。モータはそれ以外にも、高い出力密度と特に円滑な回転、すなわちIntuitive Surgical社の求める両方の基本要件を併せ持っています。

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執刀医のコンソールで使用されるモータは、その二重の役割を強調するために「マスター」と呼ばれます。マニピュレーターに設置されたスレーブ駆動部は、精度は同じですが、手術助手がロボットの先端部分(エンドエフェクタ)を所定の位置に移動させている間にバックドライブすることができます。モータは器具の先端部分で低ヒステリシス(履歴現象)を示します。

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直感性、あらゆる動作、最新のテクノロジー

da Vinci™S HDサージカルシステムは、手術器具の直感的コントロール、あらゆる動作、生体組織のデリケートな取り扱い、そして切開手術のような3次元可視化を外科医が体験することを可能にした唯一の市販機器です。このような体験をしながら、外科医は同時に小さな切開部から最小侵襲手術を行うことができます。最新技術を投入したモータやその他の部品を使用することで、初めてそのような手術支援システムの開発が可能になったのです。

da Vinci™S HDサージカルシステムは、SRI(旧スタンフォード研究所)で開発されたコンピュータ援用手術のための基礎技術をベースにしています。Intuitive Surgical社はその後、da Vinci™S HDシステムを改良するにあたり、IBM、マサチューセッツ工科大学、ハートポート社 (Heartport Inc.) といった機関と提携してきました。また本システムはアメリカ食品医薬品局 (Food and Drug Administration, FDA) から、胆嚢や大腸などの腹部手術、胸部手術(心臓手術を除く)、前立腺手術における使用の承認を受けています。ヨーロッパでは、すでにda Vinci™S HDシステムによる心臓バイパス手術が行われました。

「世界中の患者、外科医、病院に安全なシステムを提供するため、我々は日々1万台以上のmaxonモータに全幅の信頼を寄せています。maxonは、傑出した信頼性、低摩擦、長寿命の観点において素晴らしい成果をもたらしてくれます」Intuitive Surgical社の生産工学担当マネージャー、マイク・プリンディヴィルはこう述べています。「すべてのda Vinci™ システムは、摩擦や遊びといった特性、適合性、ならびに多種多様なセンサのフィードバックを監視するための厳しい性能テストを通過しています」。

著者: maxon France

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