高細胞密度プロセス向けバイオリアクター細胞培養システム

この汎用性の高いバイオリアクター内に使用される高精度のモータとギアヘッドは、インペラーの回転数制御と適切な酸素レベルの維持に貢献しています。 

図1: AESバイオリアクターは、細胞培養を自動化するためのさまざまな制御機能を備えています。

バイオリアクターは、各用途におけるニーズに合わせて、幅広い分野の作業が行えるように設計されています。AES(Automated Engineering Services）社（カルフォルニア州オーシャンサイド）の小型のバイオリアクターは、細胞培養生産を自動化するための幅広い制御機能を備えた細胞培養システムです (図1参照)。再利用可能でオートクレーブも可能であるこのガラス製リアクターは、初期段階の研究、製品開発、業務用アプリケーションに最適です。ステンレス鋼製コンポーネントとヘッドプレートにより、ベンチトップシステムは優れた耐用年数を実現しています。また、制御ハードウェアとソフトウェアは、21 CFR Part 11、GMP/GLP、および ISA-88の各法規制に準拠しており、幅広い規制要件を満たしています。 

AES社は10年以上にわたり、ライフサイエンス分野向けのシステムを設計・製造しています。同社のシステムは、さまざまなバイオテクノロジー用途の薬物分析および評価の初期段階で使用されています。同社は、サイズが2 ～15リットルのベンチトップユニットを設計・製造してきました。各システムは、多種多様な細胞株や生物にとって理想的な環境をつくり出し、細胞密度の高いプロセスをサポートしています。統合式pH およびDOコントロールシステムと4ガスMFCコントロールシステムにより、リアクター内のガス環境を幅広い用途の要件に適合させることができます。主な用途には、細菌および哺乳類製品向け細胞株システムが含まれています。これらのバイオリアクターは、ソレラ、シードトレイン、灌流、またはNステージバッチおよびフェドバッチ操作のプラットフォームとして使用することができます。 

各ベンチトップユニットには合理化された最新式の外部収納型クワッドポンプが搭載されており、実験室や商業向け環境でも貴重な作業スペースを節約することができます。自動化プロセスの一部として機能するこの産業用コントローラは、ネットワークアクセスが使用可能なあらゆる場所で、リモートプロセスの監視および制御を可能にします。直感的なユーザーインターフェースにより、ユニットの操作は簡単で、ユーザーはバイオリアクター細胞培養システムで実行されているすべてのプロセスをいつでも簡単に監視および調整することができます。 

AESシステムは、既存の分散制御システムに迅速かつ簡単に統合できるモジュラー制御レイヤーを提供しています。オンラインでの調整、履歴およびシステム情報は、ネットワークに組み込まれたコンピューターまたはローカルのヒューマン・マシン・インターフェースを介してリモート表示することができます。さらに、すべての制御ソフトウェアコードは透過的でオープンプロトコルであるため、ユーザーは自由に変更を加えたり、必要に応じてこれをアップデートしたりすることができます。 

酸素は継続的に監視されており、ユーザーが設定した酸素濃度を維持できるようにモータ回転数が調整されます。通常、BLDCモータは、回転数範囲100～300 rpmで動作します。バイオリアクターが細菌発酵などの高密度培養で使用される場合は、回転数範囲は1200 rpmを超えることがあります。このため、同システムにはこのような用途に必要となる高いトルクをシステムに提供する、maxonのブラシ付きモータが組み込まれています。 

図2: AESバイオリアクター内には、maxonのDCXドライブなどの高精度モータが組み込まれており、酸素レベルを厳密に制御します。© maxon

混合インペラは、maxonが設計および製造したハイテクなブラシレスDCモータ (BLDC) とギアボックスによって機能します (図2 参照)。モーションコンポーネントにはエンコーダが内蔵され、IP保護等級が付された筐体内に組み込まれています。これらすべての精密モーションコンポーネントは、攪拌シャフトに挿入されたうえで混合インペラに接続されています。制御システムへ追加フィードバックループは、哺乳動物細胞の呼吸に用いられる適切な温度と酸素注入を維持するために使用されます。 

結論 

AES社製バイオリアクターのような非常に機密性の高いデバイスを使用するときにユーザーが求めるのは、システムが基準に則して確実に機能するという安心感です。すべてのmaxonモータに採用されている高度な設計と製造は、ユーザーが求める精度と長寿命を実現しています。他のバイオリアクターコンポーネントの高品質設計と適切なモーションシステムを組み合わせることで、ユーザーは市場に出回っている中でも極めて安定性の高いデスクトップユニットを構築することができます。