maxon Story

大志を抱く若きロケットエンジニア

DAEDALUS_Sensor_ConnectionDAEDALUS_Sensor_Connection

ARIS は、スイス連邦工科大学チューリヒ校 (ETH)、ルツェルン応用科学芸術大学 (HSLU)、チューリヒ応用科学大学 (ZHAW) の学生たちによって2017年に設立されたスイスの学生団体です。この団体は、宇宙規模のプロジェクトで知識を応用する機会を学生に与えることを目指しています。ARISは、2018年以降、独自に開発した研究用ロケットを使用して、年に一回開催されるSpaceport America Cupに毎年参加しています。 maxonは過去数年間にわたり、ドライブ技術、実習ワークショップで作成された旋削部品とフライス加工部品、および技術的専門知識でARISをサポートしています。今年、ARISは3つのプロジェクトに着手しました。

  • ロケットプロジェクトPICCARDは、最新のARIS研究ロケットを開発しました。
  • DAEDALUSエンジンプロジェクトは、前年度の開発プロジェクトに基づいて構想され、ARISの初代飛行ハイブリッドロケットエンジンを開発しました。
  • PHOENIXプロジェクトでは、パラシュートを制御して研究用ロケットを所定の地点に自律的に着陸させる技術を開発しました。
PICCARD_Nosecone

PICCARD

60人を超える熱意に満ちた学生たちが参加する最も大きなプロジェクトが、このPICCARDロケットプロジェクトです。この観測ロケットは、Spaceport America Cupで最大3万フィートまで飛行するように製造されました。このロケットは、全長6.20 m、離陸時の重量は98 kgです。また、同ロケットには、他のチームが開発したDAEDALUSハイブリッドロケットエンジンが搭載されてます。 
今年の最大の課題は、ロケットエンジンの統合と、ロケット打ち上げをサポートするインフラストラクチャの開発でした。さらにロケットのほかに、自動充填ステーションと追跡ステーションも開発されました。同ロケットは、エンジンのほか、軽量構造、アビオニクス、回収システム、およびペイロードで構成されています。エアロダイナミックノーズとフィンが飛行中のロケットの安定性を向上させます。また、このロケットは、モジュール構造を採用しています。カーボンとグラスファイバーで強化されたプラスチック製管状モジュールは、アルミニウム製隔壁によって分離されています。モジュールはロケット打ち上げの際に現地で組み立てられ、クランプリングで接続されます。ノーズコーンの金属チップとクランプリングは、maxonの実習ワークショップで製造されたものです。 
アビオニクスは、地上からロケットへの通信を保証します。2つの回転するトランスミッションタワーで構成される追跡ステーションは、飛行中のロケットを追跡し、上昇および回収時にロケットとの接続が維持されるようにします。トランスミッションタワーは、maxonのモータによって駆動されます。 

DAEDALUS

これまで、すべてのARIS研究用ロケットは、商業用固体ロケットエンジンで飛行しています。今年は、このエンジンが変更される予定です。2019年以降、ARISは独自のロケットエンジンを開発しており、今年初めてロケットに統合されることになりました。 

DAEDALUS_Main_Valve_2
DAEDALUS_Sensor_Connection
DAEDALUS_Main_Valve_2
DAEDALUS_Sensor_Connection

ロケットエンジンのバルブシステムは、maxonの電気モータによって駆動されます。

1/2

DAEDALUSエンジンは、フォーカスプロジェクトの一環として、スイス連邦工科大学チューリヒ校 (ETH) の6名の学生によって、1年以上にわたって開発されました。このエンジンには、液体亜酸化窒素を酸化剤として使用し、SORPAL (ソルビトール、パラフィン、アルミニウムの混合物) を固体燃料として使用しています。酸化剤は特別設計されたタンクに貯蔵され、maxonの電気モータが駆動するバルブシステムを介して燃焼室に噴射されます。この燃焼室で酸化剤が燃料と反応し、発火します。高温ガスは、特に耐熱性のあるノズルを経由して、推力を発生させる燃焼室から吐出されます。動力は、maxonの実習ワークショップで製造されたモータリテーナーを介して、ロケット構造の残りの部品に伝達されます。DAEDALUSエンジンでは、広範囲にわたる試験が実施されています。合計5回のコールドフローテストと7回のホットファイアリングが実行されました。この試験では、7.98 kNのピーク推力を測定することができました。また、ロケットの打ち上げ中にエンジンに燃料を補給できるようにする燃料補給ステーションも開発されました。ロケットが打ち上げられる前に接続を解除するインターフェースコンポーネントも、maxonの実習ワークショップで製造されたものです。 

PHOENIX_Droptest_Preparation

ドロップテストを行うチームメンバー。

PHOENIX

ARISロケットは、再び飛行できるよう、パラシュートを使用して回収されます。今後、ロケットの着陸地点を制御できるようにするため、今年は追加の開発プロジェクトが開始されました。PHOENIXプロジェクトの一環として、スイス連邦工科大学チューリヒ校 (ETH) とチューリヒ応用科学大学 (ZHAW) の8名学生が、2台のmaxonドライブを使用してパラシュートを制御し、事前に定義された着陸ゾーンにロケットに類似したペイロードを自律的に着陸させるプロトタイプを作成しました。このシステムは、機内で軌跡を生成し、複数のセンサーを使用して軌跡を追従することができます。このシステムの性能は、ヘリコプターからの数回のドロップテストにより立証されています。 

Image Copyrights
ARIS

著者: maxon HQ

© by © maxon motor ag