maxon Story

UAVが拓く未来: 信頼性と接続性の確保

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今日、maxonのドライブが搭載されている産業用ドローンの数は増え続けています。このスイスを拠点とするメーカーのモータは、航空機の安全性と信頼性の確保に貢献しています。同時に、複雑なドローンシステムに含まれるあらゆるコンポーネントをシステムに最適化する必要性も存在します。「今、システムのネットワーキング、通信、およびインテリジェンス分野では飛躍的な進化が起きています」。maxonの航空宇宙部門のビジネス開発エンジニア、マルコ・シッチャーはこう述べています。 

シッチャーさん、ドライブスペシャリストであるmaxonにとって、ドローンという応用分野はどのくらい重要ですか? 

従来の航空宇宙の分野において、maxonの製品は何年にもわたって存在感を増し、成功を収めてきました。特に産業用航空宇宙市場では、無人航空機 (UAV) の重要性が増しています。ドローンの市場は、趣味を中心としたものから、確立された専門分野の市場セグメントへと発展しています。 maxonは製品の安全性と信頼性の保証、そして成長への貢献において積極的な役割を果たしています。 

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ドローンモータを通じて、新しい応用分野の開拓を行っていますか? 

いいえ、直接的にはそうではありません。この分野は、maxonモータの新しい用途分野ではありますが、私たちはすでに航空宇宙分野で求められる厳しい要件と、必要とされるモータおよび制御技術を熟知しています。このため、弊社のチームはこれらの専門知識を受け継ぐことで、相乗効果を生み出しました。プロペラの空気力学などの新しい分野では、強力なネットワークと新しいノウハウを構築しました。 

maxonのドライブが搭載されたドローンはすでに飛行していますか? また、どのような組織と協力して開発を進めていますか? 

世界中のさまざまなお客様が、ラボ条件下だけでなく、実際の使用条件下で行われる飛行試験において、maxonのドライブをテストしています。飛行試験から重要な経験と知識を得るため、maxonのチームは、弊社のドローン製品群のコンポーネントを使用したテスト用ドローンもすでに作成しています。これと並行して、大学との緊密なつながり、専門分野における協会への加盟、新しいパートナーシップ (プロペラ分野など) を活用して、専門知識を取得し、包括的パートナーとしてこの分野に取り組んでいます。 

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ドローンができるだけ長時間ミッションを実行できるだけでなく、屋内飛行もできるようにするには、モータはどのような要件を満たす必要がありますか? 

長い飛行時間は、推進システム全体が最適に連携し、バッテリーから可能な限り多くのエネルギーを確保することで実現されます。具体的には、モータは可能な限り効率的に動作し、さらにプロペラ、電子制御システム (ESC)、および飛行ミッションに完璧に適合している必要があります。高温、低温、湿度など、さまざまなミッションでモータが晒される環境の影響も考慮する必要があります。一方、密閉された室内での飛行には、コンパクトなサイズであることや騒音への配慮など、駆動システムに他の要件が求められます。 

「品質と性能に求められる高い要件を満たしながら、重量に特に注意を払う必要があります」

ドローンモータの開発に新しいアプローチは必要ですか? 

弊社にとって、極めて要求の厳しい応用分野向けにドライブやシステムを開発することは、そう珍しいことではありません。そのため、弊社の開発アプローチは非常に適切なものです。ただし、ドローンのモータでは、品質と性能に求められる高い要件を満たしつつ、重量に特に注意を払う必要があります。さらにプロペラの空気力学的効果および気流を用いた動的冷却システムがモータ設計に大きく影響するため、ドローン駆動システムはさらに複雑な設計になっています。 

これらの開発は、プロダクトイノベーションといえますか?または、これはむしろドローンの全体的なコンセプトの最適化というべきものでしょうか? 

最適な形で導入を行うには、すべてのコンポーネントの相互作用が非常に重要です。主に重要なことは、すべてのコンポーネントが互いに完全に適合しているシステムを開発することです。モータ技術と制御技術は、どちらもmaxonがこれまでに実績を積み重ねてきた分野です。しかしこの新市場向けにはさらに固有の最適化が施されています。 

この分野では、どのような技術的進歩が今後起こると考えられますか? 

新しい素材と技術の導入により、モータはさらに強力でよりコンパクトになっています。 maxonはすでに、すべてのコンポーネントにおいてシステム最適化に取り組んでいます。しかしながら、今後はシステムのネットワーク、通信、およびインテリジェンスといった分野で大幅な進歩が見込まれています。これらの複雑なシステムのコンポーネントが相互に通信し、オペレータに重要なフィードバックを提供できることがますます重視されています。

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ドローンドライブシステムには、どのようなイノベーションが期待できますか? 

先ほど申し上げたコミュニケーション機能には、大きな発展のポテンシャルが秘められています。また、予知保全の分野でも、多くの開発の機会と可能性が期待できます。これは、システムとドライブをターゲットとした予知保全に関係するものです。 

特別に適合されたカタログ製品も利用していますか? 

maxonは、ドローン駆動、つまりプロペラを駆動するモータ分野向けに、適切な電子制御システムを備えた特別設計の新型モータを開発しました。ただし、これらの新型モータは、さまざまな産業用途向で実績のあるカタログ製品から派生したモータ技術に基づいて開発されたものです。ジンバルシステムやグリップ機構などといったドローンの他のパーツには、実績のあるカタログ製品が使用されており、お客様の要件に応じた最適化および変更が施されています。 

モータサプライヤーの観点から、無人航空機 (UAV) と陸上輸送システムの違いは何だと思いますか? 

コンポーネントの安全性と信頼性は絶対に重要です。航空宇宙産業と同様、特に規制環境において一般に確立されていない新技術を導入する場合は、トラブルのない運用の確保が不可欠です。すべての飛行デバイスのコンポーネントの重量を減らすことも、もうひとつの重要な課題です。品質と環境要件がますます厳しくなるにつれ、堅牢性と重量を最適化の両立という困難な設計課題に取り組む必要が生じます。 

ドローンはすでに存在する技術です。コンポーネントサプライヤーとして、ドローン技術の今後の発展にどのように貢献することができますか? 

ドローンが市場に導入されてからすでに数年が経ちますが、趣味としての用途からプロフェッショナルな用途、およびサービス分野用途へと大きく飛躍したのは、つい最近のことです。産業向け用途の環境では、ドローンのすべての要素に対してさまざまな、大幅に厳しさを増した要件が課せられます。そんななか、私たちはコンポーネントサプライヤーとして、信頼性が高く、高品質で安全な製品を提供することで変革をもたらし、ドローン技術のさらなる発展に貢献することができます。 

「趣味としての用途からプロフェッショナルな用途、およびサービス分野用途へと大きく飛躍したのは、つい最近のことです」

システムメーカーとは、どの程度緊密に連携していますか? 

maxonは、すべての産業分野のお客様との緊密な協力関係を築くよう努めています。私たちは、それが最善のソリューションを実現する唯一の方法だと認識しています。このことはドローン分野にも当てはまります。特定の要件を認識して開発に反映させるには、システムメーカーとの協力が不可欠です。これには、単純な変更からカスタム仕様特別設計ドライブ、そしてコントロールシステムまでもが含まれます。maxonは開発プロセスにおいて、システムメーカーからのフィードバックを用いて、さらなる開発と最適化に取り組んでいます。 

著者: Marco Sicher

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