maxon Story
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19): ドライブテクノロジーとフィジカルディスタンス


新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の拡大による衛生危機により、すべての人々はソーシャルディスタンスを保つことを余儀なくされました。その手段として、電動化・自動化ソリューションの開発がハイスピードで進行しています。この記事では、人々の人間関係を非人間的にすることなく、新たに考案するためのイノベーションに関する概要を説明します。
配送・物流ロボット
汚染のリスクを低減するため、非接触型配送サービスの需要が世界中で急増しています。顧客が店内を歩いたり、配達員に接触せずに、店舗を営業し続けることができるようにするために、Starship Technologiesは配達ロボットを配備しました。6つの車輪に取り付けられたミニアイスボックスのような外観のこのコンパクトなロボットは、自律的に道路を移動し、食べ物やその他の必需品を配達します。このロボットには、センサ、カメラ、高性能モータが搭載されており、障害物を避けて任務を遂行します。目的地に到着すると、アプリを介してロックを解除し、注文を受け取ることができる仕組みです。こうした無人搬送車 (AGV) のアプリケーションには、maxonのコンパクトドライブが最適です。maxon EC FlatおよびEC Frameless DCモータ、さらにコントローラ内蔵のIDX maxonモータは、この種類の用途で頻繁に採用されています。
他の都市では、フランスを拠点とする企業、Shark Roboticsのコロッサス (Colossus) のようなロボットが、道路や公共の場所を消毒するために水性アルコールジェルを塗布しています。maxon DCモータで構成されたこのロボットは、過酷な環境やリスクの高い状況で動作します。さらにコロッサスは、ノートルダム寺院の火災でも消防士と共に消火活動に参加しました。
ドローンによる医薬品の配達は、接触を最小限に抑えるために米国でも利用されている方法です。現在、配達される製品は一定の重量を超えてはいけないことになっています。また、配達はあらかじめ決められた範囲に限定されます。ドローンによる配達も、多くの規制の対象となっています。
maxonは、UAV向けに特別に設計された新しい製品群を開発しています。これらの製品は、極めて厳しい安全基準に準拠し、エネルギー消費を最小限に抑えるとともに、全体的な効率性を向上して飛行時間をさらに延長するものです。
アシスタントおよびコンパニオンロボット
世界中のさまざまな都市で、高齢者や患者を支援する愛らしい外観の「ヒューマノイド (ヒト型)」ロボットが配備されています。イタリアのチルコロ病院では、車輪付きロボットが新型コロナウイルス感染症患者のベッドサイドに歩み寄り、健康状態に関する情報を収集します。インドでは、ロボットが患者の病室まで薬や食事を直接運ぶ役割を担っています。日本では、ロボットのペッパーがホテルに隔離された軽症の患者を迎え入れ、患者の気持ちを和らげています。決して疲れず、汚染されず、保護具を着用する必要のないロボットたちは、病院環境で特に有用であることが実証されました。
ソフトバンクに買収される前にフランスで設計されたペッパーにはマイクとスクリーンが装備されています。患者はテレプレゼンス・アプリケーションを使用して、汚染のリスクなしに家族との通話を行うことができます。指と車輪にmaxonのモータを搭載した、愛らしいデザインのこのヒト型ロボットは、パリのピティエサルペトリエール病院でもテストされています。遠隔で操作するペッパーは、最初は集中治療室で使用され、その後に病院の受付デスクに配置されました。現在、このロボットは安全規則を訪問者に通知したり、病院スタッフにリラクゼーションエクササイズを提供したりしています。
このようなアシスタンスソリューションは、店舗で顧客を案内するのにも使用できます。オペレータはロボットをリモートで制御し、ビデオで通信します。
コンパニオンロボットは、感染のリスクに曝されることなく外界と接触することを可能にするため、高齢者施設でもその価値が認められています。フランス北部を拠点とするスタートアップ企業Roubaixは、約20台のコンパニオンロボット「キュッティ (Cutii)」 を無料で提供しています。キュッティは、入居者にさまざまなアクティビティを提供するほか、装備された画面を使って家族とのビデオ通話を可能にします。このロボットは、簡単な体操、物語、歴史情報、そして廃棄物ゼロに関するワークショップを提供しています。
人間同士の物理的な接触は制限されるものの、こうしたアシスタンス/コンパニオンロボットは、バーチャルな人間同士の交流の強化にも貢献しています。
さて、モータ技術はどのような役割を果たしているのでしょうか?たとえば技術的要件、温度管理、電源といった要素によっては、ドライブの設計への組み込みが一筋縄ではいかないことがあります。人間とロボットの相互関係に特化したロボットシステムのメーカーにとって、設計自由度の高さは成功に直結しています。maxonは、モータと電子機器のコンパクト化に長年取り組んでいますが、今日ではバッテリーシステム (および BMS - バッテリー管理システム) もご提供しています。
産業オートメーションとロジスティクス4.0
生産の自動化、特に包装機械の自動化には、ソーシャルディスタンスの確保という考えがよく馴染みます。予知保全、リモート、リアルタイム制御により、生産機械の周囲にいるオペレータの人数を制限することが可能となります。インダストリー4.0が提唱するこれらの原則は、生産速度をリアルタイムで適応させる柔軟性も発揮します。
リモート制御は、モータの位置決めと同期を実現するmaxonの高性能ZUB多軸コントローラにより可能になります。オペレータは、機械の近くに移動することもなく、すぐに異常を検知することができます。また、maxonのコンパクトIDXドライブで使用されるEtherCAT、CANopen、I/O通信バスは、パフォーマンス、信頼性、およびコネクティビティを提供します。
ロジスティクス:無人搬送車 (AGV) と自動移動ロボット (AMR) は、この公衆衛生の危機的状況において、非常に貴重な役割を果たしています。 自律的に動いて重い荷物を運ぶことができるこれらの車両は、人々のインタラクションを制限することを可能にします。フランスを拠点とするスタートアップ企業iFollowが開発した協調型および独立型ロボットiLogisticsや、Exotec が開発したSkylogなどはその一例です。DCモータはコンパクトで高効率でなくてはいけません。ここで推奨されるのが、maxonの電動ホイール、バッテリー、および管理システムです。また、maxonの位置決めコントローラと小型IDXドライブも使用されています。
2020年の世界的パンデミックによるフィジカルディスタンスがもたらしたさまざまな制約は、通信技術を使用した自律的でインテリジェントなイノベーション技術の新たな扉を開きました。人間関係を維持し、事業の発展を可能にし、より高度なコネクティビティと個別化を実現することは可能です。maxonが提供するテクノロジーは、リモート移動を実現し、人々がより親密に繋がることを可能にします。
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