Expert Blog
ブラシ付き vs. ブラシレス DC モータ
前回のブログ記事では、貴金属ブラシとグラファイトブラシのさまざまな特性について簡単に説明しました。しかし、ブラシ付きモータとブラシレスモータのどちらを選択するかをまだ決めていないため、ブラシの種類を選択する準備ができていない場合はどうすればよいでしょうか?自分の設計にはどちらの整流システムがより効果的なのか?そんな疑問もわくことでしょう。
動作寿命:
真っ先に思いつく質問は、デューティサイクルと希望する耐用年数はどのくらいかということです。長寿命のモータが必要な場合は、ブラシレスモータを検討してみてください。ブラシ付きモータの寿命はブラシの種類に応じて異なりますが、平均寿命は 1,000 ~ 3,000 時間です。他方、ブラシレスモータは摩耗するブラシが存在しないため、平均寿命は数万時間に達します。寿命が制限される要因は、ベアリングの摩耗です。
効率:
ブラシ付きモータとブラシレスモータをじっくり比べると、ブラシレスモータのほうが全体的な効率は高いかのように思われます。しかしながら、鉄芯のないブラシ付きモータ設計の maxon のモータでは、まさにその逆となります。この設計では、固定子の磁化は恒久的なものであり、渦電流損失がありません。ただし、当社のブラシレスモータには渦電流損失が生じ、電気抵抗によって材料が加熱されるため、それが損失の一因となります。渦電流の振幅は回転数に比例します。ジュール損失は誘導電流の 2 乗で増加するため、渦電流電力損失は回転数の 2乗で増加します。すなわち、回転数が高くなるほど、ブラシレスモータの渦電流損失はより大きくなります。
この特性は、モータ効率性の一部にすぎません。当社では、ギアボックスやコントローラといった駆動システム全体の効率性を考慮することが推奨されています。このトピックについてもっとよく知るには、ウルス・カファダーのブログをご覧ください。
作動:
ブラシ付き DC モータは、DC 電圧供給で (バッテリーであっても) 簡単に作動が可能です。ブラシレスモータはもう少し複雑で、コントローラを使用して電気的に整流する必要があります。このため、システム全体のコンポーネント数やコストは増加します。必要な精度に応じて、センサレスブロック整流、ホールセンサを使用したブロック整流、ホールセンサを使用した正弦波整流(エンコーダ付き、またはエンコーダなし)を選択することができます。
これらは、整流システムを選択する際に考慮すべき特性の一部にすぎません。選定に行き詰ってしまった場合は、世界中にいる経験豊富なmaxonのセールスエンジニアにいつでもご相談ください。お問い合わせ先が分からない場合は、maxon motor ウェブサイトをご覧ください。