maxon Inside
ロボティクス向け新型サーボ制御キットの登場


エンジニアと学生がさまざまな開発課題にもっと容易に取り組むことができるようになるために、モータ制御分野に名を馳せる 2社が連携しました。共同で、ドライブ、ロボティクス、およびオートメーション用のプラグ & プレイ型サーボ制御開発キットを完成させました。
STMicroelectronics 社は、さまざまな電子機器のアプリケーションにサービスを提供する半導体のグローバルリーダーです。同社は、精密ドライブのスペシャリストであるmaxonと協力し、ロボット工学のアプリケーションと産業用サーボドライブの設計の加速化を実現しています。両社は、ニュルンベルクで開催されたSPS 2019国際見本市で、協力開発の産物であるサーボ制御キットを展示しました。
EVALKIT-ROBOT-1 は、サーボドライバやロボットの高精度な位置決めおよび高度なモーション制御の開発をサポートする、プラグ &プレイ型ソリューションです。キットには1024パルス / 回転のインクリメンタルエンコーダを搭載したmaxonの100W BLDC モータが含まれており、maxonの磁気設計に関する専門性に基づいて、低速回転でもスムーズかつバランスの取れた高精度の制御を実現します。
キットに付属しているサーボ制御ボードには、ST のSTSPIN32F0Aインテリジェント3相モータコントローラと、モータにすぐに接続できる ST パワー・トランジスタで構築された完全なインバータステージが含まれています。また、モータ制御用のファームウェアも含まれているため、簡単にモータを始動させ、コマンド送信を始めることができます。
「当社のモータの高い品質、精度および正確さは、世界中で信頼されています」と、maxonの産業オートメーション事業開発部門を統括するフェリックス・ヘルガーは述べています。「TSTとの提携により、この優れた品質と精度を幅広く、かつ簡単に活用できるプラットフォームが生まれました」。
「高精度の位置決め機能を備えたハイエンドなモーション制御の設計は複雑で時間を要するため、専門的な技術が必要です。maxonとの協力関係により、このような技術を一つの評価キットで実現することができました」と、STMicroelectronic 社のモーション制御製品マーケティングマネージャであるベンジャミン・イベティック氏は述べています。「EVALKIT-ROBOT-1は、次世代のロボット開発や、先進的な機能と器用さ、および優れた信頼性と使いやすさを実現する自動化システムの開発に貢献します」。
このキットはウェブサイト www.st.com からご購入いただけます (価格は $129.00 です)。
技術情報:
ST の STSPIN32F0A は、STM32F031C6* マイクロコントローラや 3相インバータドライバなど、モータ制御において重要な回路を集積したシステム・イン・パッケージであり、コンパクトな VFQFPNパッケージ (7 mm x 7mm) で提供されます。STM32F031C6には、高精度の位置決めを可能にするベクトル制御 (FOC) 機能と MODBUS通信用のプラグ & プレイ型ファームウェアが搭載されています。また、パワーマネジメントおよび電流検知回路も組み込まれており、優れた柔軟性と汎用性を備えています。
maxonのEC-i 40 BLDCモータ (40mm径、100W) には、同社の ENX 16 EASY インクリメンタルエンコーダ (1024パルス) が内蔵されており、高精度の制御が可能です。ロータ位置を検知するためのホールセンサも内蔵されています。最適化された高出力トルクと低コギングトルクにより、あらゆる回転速度におけるスムーズな動作と、優れた位置決め精度を実現します。
3相BLDCインバータ電力段にはSTの60 V 低オン抵抗 Nチャネル MOSFETである STL7DN6LF3 が採用されており、最大6Aの出力でモータを駆動することができます。