maxon Story

そうです、彼です。バイオニックマンです!

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バイオニックマンは、これまでとはまったく違ったスーパーヒーローです。近未来的な義手が、彼に超人的な力を与えています。彼はこれらの力を利用して、障がいを持つ子どもたちに勇気をもたらし、3D プリントで作られたかっこいい義手を届けるのです。

きらめく青いマントを纏った瞬間、ミシェル・フォルナジエ氏は日常的な問題や限界を抱えた普通の人間ではなくなります。彼は分身であるバイオニックマンに変身し、無限の力を発揮し、飛ぶことができます。それどころか、時間を戻すことさえできるのです。

そうです、本当に彼です。バイオニックマンです!「この衣装は、特別な魔法を生み出すことができるんです。私がこの衣装で子どもたちの前に現れると、彼らは本物のバイオニックマンを実際に見ていると信じてくれるんです。素晴らしい気分を味わえますよ」。ただし、ミシェル・フォルナジエ氏は、この気分を味わうためだけにスーパーヒーローの衣装を着ているわけではありません。彼には重要な使命があります。彼は、子どもたちに勇気を与え、体に障がいがあることは他の子どもたちより優れているわけでも劣っているわけでもなく、同じ存在であるということをわかってもらおうとしているのです。バイオニックマンは、子どもたちの中に相手を思いやる気持ちを育み、いじめを撲滅するために戦います。生まれつき右手がなかったフォルナジエ氏は、彼自身の経験に基づいてこれらの活動に取り組んでいます。彼は障がいに立ち向かい、すでに幼いころから自分で靴紐を結ぶことを学びました。それどころか、マラソンにも参加しました。実のところ、そうしない理由なんてひとつもなかったのです。そうでしょう?

スパイダーマンからバイオニックマンへ

フォルナジエ氏が使用しているのは、Touch Bionics 社製の筋電ハンドプロテーゼです。このプロテーゼは 6 台の maxon モータが搭載されたハイテクデバイスとして、25 の動作パターンを実現します。「このプロテーゼは、人間の手の機能の 15% しか置き換えられません。しかしそれでも、私の日常生活はさまざまな場面でとても楽になりました。自転車やスクーターに乗ることができますし、両手でキーボードをタイプすることもできます。また、スマートフォンを右手に持つことができるだけでも快適です」。

最初の頃、子どもたちからは「その手には超能力があるの?」とよく質問されたものでした。はじめは、フォルナシエ氏はその質問に「いいえ」と答えていました。ただし、しばらくすると、彼はこう答えるようになりました。「ひょっとしたらそうかもしれないね。バイオニックマンが生まれた理由は、そういうことなんだよ」と。フォルナシエ氏は、米国の Marvel 社と DC 社で働いた経験があり、過去にスパイダーマンのコミックを描いたこともあるアーティスト、デービット・ボレー氏に連絡をとりました。そして彼らは一緒に、さまざまなシチュエーションで人々を助けに駆け付けるバイオニックマンの最初のストーリーを創り出したのです。バイオニックマンの多くのストーリーでは、身体障がいを持つ人々が登場します。「障害のある人は、他の人と同じように扱われることを望んでいます。このことを、遊び心をもって指摘したいんです」。現在、バイオニックマンのコミックは第1巻が発売中です。2019 年後半には第 2巻が発売される予定です。

子ども向けの 3D プリント製プロテーゼ

バイオニックマンが皆の気持ちを励ます一方で、フォルナシエ氏は最先端テクノロジーによる支援を進めています。2016年には、同氏は慈善団体「ギブ・チルドレン・ア・ハンド」を創設。以来、この団体のために精力的な活動を続けています。また、チューリッヒ工科大学および Wyss 研究所の協力により、コンポーネントを 3D プリンターから製造できる、手頃な価格の義手の開発に成功しました。この記事の執筆時点では、25人の子ども達がプロトタイプを着用しており、改善のためのフィードバックを継続的に提供しています。「子どもたちは、機能性よりも見た目を重視しがちです」。ミシェル・フォルナシエ氏は笑いながらそう語っています。「何よりもまず、プロテーゼはかっこよくなければならないようです」。

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サイバスロンのアンバサダー

やるべきことはまだたくさんあります。エンジニアは義肢の開発を続行しなければいけません。また、社会は障がいを持つ人々を平等に扱わなくてはいけないのです。これがバイオニックマンが戦う理由です。これらの目標は、2016年に初めて開催され、2020年に再び開催されるサイバスロンでも共有されています (以下を参照)。ミシェル・フォルナシエ氏がサイバスロンのアンバサダーに選ばれたのは、当然のことだといえるでしょう。「私は、主に義手競技の新しい課題に挑戦し、主催者にフィードバックを提供しています。つまり、何が困難で、何を改善できるか、といったことを伝えているんです」。さらに彼は、サイバスロンのためにさまざまな宣伝活動も行っています。「このイベントは、障がいではなく、人そのものを中心に据えた非常に有意義なイベントです」。フォルナシエ氏は、エンジニアとパイロットの野心、大きな目標に感銘を受けたと言います。「ここで生まれる開発結果は、最終的にはユーザに恩恵をもたらします」。

ミシェル・フォルナシエ氏は、間違いなくサイバスロン2020を観戦することでしょう。サイバスロンとバイオニックマンは、共に社会的タブーを克服し、障がいを持つ人と持たない人の間に架け橋を築くユニークなチームです。

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バイオニックマン コミックス第 1 巻の抜粋詳細はこちら:  bionicman-official.com

maxon は、サイバスロン 2020 - グローバル エディションを支援しています

サイバスロンでは、身体障がいを持つ人々が最先端のハイテク義肢装具を身に着け、障害物競走で互いに競い合います。第2 回目となる同イベントは、2020年11月13~14日に全世界の各チームの本拠地にて、新たな形式で開催されます。各拠点では競技のためのインフラが設営され、レースが撮影されます。競技は、新しいプラットフォームを通じて、ユニークなライブプログラムとしてチューリッヒから放送されます。サイバスロン 2020グローバル エディションでは、過去数年間にパイロットとその開発チームが共に協力して実現した成果を発表し、競技を通じて忘れがたい経験をすることができます。  

チームとパイロットが参加する種目は 6種類。脳波を使った脳コンピュータインターフェースレース、機能的電気刺激 (FES) による自転車レース、義腕で細かい作業をこなす義手レース、義足での障害物競争、電動外骨格 (エクソスケルトン) を用いた障害物競争、そして電動車いすでの障害物競争です。

サイバスロンは、チューリッヒのスイス連邦工科大学 (ETH) が主催しています。このイベントを通じて、同大学の研究所は技術開発者、障がい者、および一般の人々が交流するためのプラットフォームを提供しています。

maxon は、プレゼンティングパートナーとして、このイベントをグローバルにサポートしています。

詳細はこちら:  cybathlon.com

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画像著作権
maxon motor / Philipp Schmidli

Author: Stefan Roschi

© by © maxon motor ag