Young Engineers Program

将来の水質変化を予測

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気候変動と土地利用は、水生環境に有害な影響を与え続けています。このため、水質の変化を測定および監視することは、近年ますます重視されてきています。ダブリン市立大学 (DCU) のWater Instituteは、将来的な水質の変化の予測に役立つ新しいモバイルラボ技術の開発に着手し、精密ドライブおよびモータのスペシャリストであるmaxonに支援を求めました。 

このプロジェクトは、フィオナ・レーガン (Fiona Regan) 教授、DCUの博士課程学生であるジョイス・オガーディ (Joyce O'Grady) 氏、そして当時、カーロウ工科大学のエンジニアリング研究センター (engCORE) 所長であったナイジェル・ケント (Nigel Kent) 博士によって推進されました。アイルランド海洋研究所の後援を受ける同プロジェクトでは、質の高い淡水域の研究、そして生態系に影響を与える可能性のある変化の監視が行われています。 

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モバイルラボのように機能する遠心マイクロ流体ディスク

同チームは、リアルタイム監視を可能にするため、選択した集水域で低リン酸塩レベルを検出するセンサーを開発しました。リン酸塩は富栄養化汚染の程度を知る尺度であり、藻類や水生植物が生成されるペースに影響を与えています。  水のサンプルと試薬液を混合して測定できるようにするため、オガーディ氏とケント氏は、モバイルラボのように機能する遠心マイクロ流体ディスクを開発しました。なお、各ディスクではそれぞれ6つのテストを行うことができます。モバイルラボを使用することで、汚染のリスクが軽減され、結果が得られるまでの時間が短縮され、リアルタイムでデータが生成されます。

ディスクの開発においてサポートが必要になったとき、ケント氏はmaxon Irelandのセールスエンジニアであるマーティン・リーヒー (Martin Leahy) 氏に連絡を取りました。これを受け、マーティン氏はDCX 22 mm DCモータと堅牢なENX 10 EASY 3チャンネル エンコーダを指定し、必要な高精度と速度制御を実現しました。また、ディスクを取り付けるには平らなエッジを備えた長いシャフトが必要だったため、シャフトの長さが変更されました。 

モータは、5,000~6,000 rpmを超えて回転し、少なくとも60秒間ディスクの外側に向かって流体を駆動し、測定段階では1度未満の精度で60度刻みでディスクを割り出す能力を有している必要がありました。DCモータとエンコーダは、統合式ファームウェアシステムの一部となっています。汚染を低減するために、このシステムは、最小限のサンプル処理システムと完全に統合されている必要がありました。 

さらにリーヒー氏は、同チームに maxonのヤングエンジニアプログラム (YEP). を紹介しました。学生やスタートアップ企業を対象としたこのプログラムは、電気駆動システムを使用した革新的なプロジェクトをサポートしています。YEPは、技術サポート、割引価格でのmaxon製品の提供、およびmaxonチャネルでのプロモーションオファーを提供しています。

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ダブリン市立大学の博士課程に所属するジョイス・オガーディ氏

«特にこのような小数量の注文でも利用できる、カスタマイズのレベルに感銘を受けました。»

「当初、私は価格設定がひとつの障壁になるだろうと思っていました。しかし実際は、maxonの製品は常にプロジェクトの必要リストに含まれていました。このため、ヤングエンジニアプログラムによって、この価格の問題の心配は解消されました。特にこのような小数量の注文で利用できるカスタマイズレベルは、実に感銘すべきものでした。それに、マーティンのアドバイスはこのプロジェクトにとって非常に貴重でした」。ケント氏はそう付け加えました。「私はこれまでmaxon製品を最終的なアプリケーションに使用することだけを考えており、プロトタイプにしようとは思っていませんでした」。 

現在このセンサーは完全に検証が済んでおり、完全デバイスとして他の分野で研究が続けられています。既に1件の調査がリフィー川で完了しており、また別の調査が下流域で行われる予定です。このシステムは、さらに4つの研究を行うために複製され、5年間にわたるプロジェクトが完了します。 

「インダストリー4.0は、さまざまな産業に普及しています。ジョイスが開発しているようなシステムは、今後さらに普及するでしょう。 川や湖の状態に関するリアルタイムのフィードバックを得ることができる自律センサーは、Agriculture 4.0のような分野で重要な役割を果たします。たとえば、よりスマートな噴霧作業のためにドローンを使うという、この技術の相互接続的な性質は、水の流出を減らし、水質汚染を防ぎ、飲料水資源を保護するのに役立ちます。これは、今後10年間でこの産業の焦点となるでしょう」現在DCU機械製造工学科の助教授であるケント氏はこう締めくくります。 

ダブリン市立大学 (DCU) は、変化する地球環境における水生生態系の役割を理解するために新しい環境水モニタリング技術を調査している、アイルランドと英国の6つの研究所で構成される研究クラスター「Beyond 2020」のメンバーです。 

Author: maxon HQ

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