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ロボット外骨格:クオリティ・オブ・ライフの向上のために

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世界中で推定約1億8千5百万の人が毎日車椅子で生活しています。オークランド(ニュージーランド)に本社を置く企業が画期的なロボット技術を開発しました。このロボットは運動障害を持つ人が再び自分の脚で再び立つことを支援します:Rex Bionics製ロボット外骨格。組み込まれたマクソンモータが肢のスムーズな動きを支援します。

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ニュージーランドのヘイデン・アレンはRexの最初のユーザーの1人。 著作権 © 2011 Rex Bionics Ltd

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ヘイデン・アレン (Hayden Allen) はごく普通のニュージーランドの青年です。バイク事故により脊髄を損傷して以来、彼の生活は車椅子に制限されてきました。医師は、彼が再び歩けることはないだろうと宣告しました。しかし実際は違いました。ヘイデンはこのロボット外骨格 (Robotic Exoskeletts: Rex) の最初のユーザの1人です。彼が初めてこのロボット脚を試した時、彼の友達は彼に足を見ないよう言いました。「自分の脚が動いているのを見るのをただ止められなかっただけなんだ」ヘイデンはRexでの最初の1歩をそう語ります。彼はこのロボット脚により、新しい生活と人生の希望を取り戻しました。以前は行くことが叶わなかった場所に訪れることができるようになりました。立つことが必要な機械工としての仕事を再開することができ、プライベートにおいても様々なチャンスを得ることが可能になりました。

レックス・バイオニクス (Rex Bionics) の2人の創設者リチャード・リトル (Richard Little) とロバート・アービング (Robert Irving) は、約9年前にこのようなロボット脚の開発を着想しました。理由は明白です――ロバート・アービングはその時既に多発性硬化症と診断されていて、自分がいつかは車椅子で生活することを知っていました。2人とも母親が車椅子で生活しており、彼らは車椅子で生活する人が直面する障害をよく知っています。この2人の友人同士が、自分たちのエンジニアとしてのノウハウを使って、移動に常に車椅子を必要とする人達のための機械を開発しようと決意しました。これがニュージーランドに本拠を置くこの企業の始まりでした。

外骨格である理由


外骨格は、運動障害を持つ人が歩行することを可能にし、彼らの体力と持久力を向上させるために開発されました。Rexにより障害を持つ人々は再び自分で立ち、歩き、立ち上がり、向きを変え、座ることができます。横に動くことも、階段の昇り降りも、固い平坦な斜面も問題ありません。この人工脚が車椅子に完全に取って代わることはありませんが、ユーザは例えば仕事を再び立った状態で行なえるようになります。彼らにとっては、他の人と同じ高さの目線で話せることがすでに信じられない体験なのです。「機能、形状、操作性における技術の完成と継続的な改良をもって世界中のできるだけ多くの人に広めたい。Rexユーザが感動してくれているのを見ることが、日々、私達に喜びをもたらし、Rexチーム全体への励みになります。」と共同創設者のリチャード・リトルは語ります。

現在レックス・バイオニクスには2つの製造施設があり、異なるニーズに応じて2つのモデルを製造しています。“Rehab Rex”はリハビリセンターでの使用を前提としています。“Rex”は個人ユーザー向けに開発され、車椅子に座った状態ではできない作業を可能にします。リチャード・リトルによると、開発プロセスで最大の挑戦は、非常に複雑でありながら同時に非常に軽量でなければならないロボットプラットフォームの開発でした。さらにもう1つの基本要件は、限られた身体能力を持つユーザが、外部から取り付けられたロボット脚と完全に調和し、安全に立ち、歩くことができることでした。

この外骨格の重さは約38 kg。しかしユーザーがこの重さを支える必要はありません。そして内蔵の交換可能なバッテリー駆動により、約2時間の連続使用が可能です。他社の外骨格はセンサーで制御しますが、Rexはジョイスティックとコントロールパッドで制御します。ジョイスティックによる操作の大きな利点は、外骨格の使用にいかなる運動機能も神経機能も必要ないことです。毎分約3メートルと、Rexはあまり速くはありませんがユーザはとても安全に前進できます。バランスを失うことはありません。電源のオン/オフに関係なく、外骨格は常に安定したままだからです。これによりスポーツイベントやコンサートなどの混雑した場所でも、ユーザが押し倒される心配はありません。またRexには松葉杖など追加の補助器具も必要ありません。つまりユーザは腕と手を完全に自由に使うことができます。

10個の強力モータによる安全な動作


Rexは非常に複雑な電子機械機器です。1つの外骨格に、29個のマイクロコントローラによって制御される肢を含め、何千もの精密部品が組み込まれています。このマイクロコントローラの特別な配置によって、Rexは数秒以内に動き、反応することが可能です。これによりRexの動作はユーザに常に滑らかに感じます。マクソンのモータがこのスムーズな動きを実現しています。

人間の脚と同じように動く全ての肢の動作が、このモータにより制御されています。1つの外骨格に10個のマクソンDC RE 40モータが使われています。RE 40は強力な150 Wを備え、90%以上の効率があります。機械的な整流回路を持つDCモータは、優れたトルク特性、高出力、非常に広い回転数範囲と寿命の長さを特徴とします。モータの心臓部には国際特許取得のコアレスロータがあり、これにより駆動装置のコギングトルクの無い動作が保証されます。レックス・バイオニクスがマクソンの高品質モータを選んだのには理由があります。Rexは高度に精密な医療機器で、ユーザーの安全が最重要だからです。

モータに対する最大の挑戦は、質、サイズ、出力の全てを1つの製品で実現することでした。現在Rexはニュージーランドの約18人のユーザに使われており、毎月新しいユーザが生まれています。彼らは皆、ユーザの一人であるミッチ・ブローガン (Mitch Brogan) の言葉に共感できるようです「笑いすぎて頬が痛くなりました。私は今、私の人生が永久に変わったことを知っています。」

Author: Anja Schütz

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