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ドライブコンポーネントの効率性
私たちは、最高の効率性を発揮するモータはどれですかという質問をよく受けます。特に、バッテリー駆動式ツールやソーラーパネル駆動式衛星など、電力供給が制限されているアプリケーションでは、このような質問が頻繁に持ち上がります。私としては、コントローラ、モータ、ギアヘッド、その他の機構で構成されるドライブシステム全体に、今一度この質問を投げかけてみるべきだと思っています。表 1 では、さまざまなエネルギー変換デバイスの一般的な効率性がざっくりと説明されています。
メカニクスの構造に、いかに多くのものが依存しているか分かるかと思います。機械的システム内の摩擦が高くなると、多くのエネルギーが消費されます。このため、ドライブトレインの効率性を最適化するには、常に機械的システムから手をつけなくてはいけません。
DC ドライブシステムは、ほとんどの場合、固定電圧で駆動されることに注意してください。このため、実際に最大化する必要があるのは全体的な効率性ではありません。効率性は、入力電力あたりの損失を示す相対パラメータです。ただし、固定電圧で最小化する必要があるのは消費電流 (絶対パラメータとして) です。供給電圧を最大限に活用することで、消費電流が低減され、バッテリ寿命が延びます。
以下は、高効率性と低消費電流を確保するためのルールです。
機械的変換のルール
- 低摩擦メカニズムを使用するか、摩擦が生じるメカニズムを一切回避してください。
- 滑り摩擦 (一般的な摩擦係数 0.1~0.4) の代わりに、転がり摩擦 (摩擦係数 < 0.01) を使用します。たとえば、ボールねじシステムは、リードねじよりかなり低摩擦です。ただし、ボールねじソリューションは通常はセルフロックでないため、停止位置に留まるには電源が必要となります。作業サイクル全体を考慮した場合、すべてを合計したときにより省エネルギーなのはアクメスクリューということになります。
プラネタリギアヘッドおよびスパーギアヘッドのルール
- 少数の段を使用します。
- 必要な値よりわずかに高い定格トルクの小型ギアヘッドを使用してください。大きすぎるギアヘッドは使用しないでください。低ギアヘッド負荷時は、効率性は非常に悪くなります。
- 効率性の点では、モータとギアヘッドの組み合わせよりも、ギアヘッドなしの大型ダイレクトドライブモータを使用すると、より優れた効率性を確保することができます。ただし、ダイレクトドライブは、寸法がより大きく、さらに重く、またより高額になる傾向になります。
モータのルール
- 数千 rpm の回転数でモータを回転します。
- 回転数が大きすぎるモータは選択しないでください。無負荷に近い状態では作動させないでください。
- 巻線の選択には注意してください。電圧を最大限に活用して、負荷がかかった状態で所定の回転数に到達します。すなわち、必要な電流が最も少ないモータを使用します。
コントローラのルール
コントローラのルールは、ギアヘッドのルールと類似しています。十分に負荷をかけてください。また、低すぎる電流で作動させないでください。定格電流が高すぎるコントローラは選択しないでください。出力段のサイズと必要なモータ電流が合致するようにしてください。
そして、忘れてはならないのは...
供給電圧を最大限に活用してください。これにより消費電流が減少し、コストを削減することができます。結果、より低い電源、より小型のコントローラ、わずかなケーブルシールドのみが必要になります。または、私の同僚が説明した通り:電圧は無料 - しかし電流にはコストがかかります。