maxon Story

ユーザーの自立した生活を支援する電動アームブレース

高度に特殊化された医療用ロボット製品の需要の高まりにより、企業はさまざまなニーズを持つ患者を支援し、人々の生活の質を向上しながら、自立した生活を提供できるようになりました。

脳卒中や外傷性脳損傷を経験した多くの患者は、片方の腕が動かなくなります。運動学習可動域療法; 杖、歩行器、ブレースなどの補助具を組み込んだ運動トレーニングなど、さまざまな理学療法が実行されています。マサチューセッツ州ボストンを拠点として医療ロボットを製造する企業Myomoは、患者が障害のある手と腕を再び使用できるように電動化された筋電装具 (電動装具) を開発しました。

筋電は、筋肉が収縮するときに生成される電気信号を、センサーを使用して認識し測定する技術です。電極とも呼ばれるこれらのセンサーを皮膚に取り付け、特別設計されたコントローラを使用すると、わずかな筋肉収縮も検出することができます。コントローラは、ユーザが意図した動きに一致するようにモータを起動します。一連のセンサーとモータを使用して、ユーザーはMyomo社の電動装具の肘と手など、複数の機能を同時に制御することが可能になります。

身体の他の部分に負担をかけずに可動性を提供することが重要です。

図1: MyoPro 2+は、医療用ロボットを使用することで、ユーザーがより自立した生活を送ることを可能にします。

同社はこれらの製品を通じて、ユーザーが腕や手の機能を可能な限り取り戻し、より自立した生活を送れるようにすることで、腕の使用を失った人々が通常の生活を取り戻すことを目指しています。ズボンやシャツに腕を通して引っ張る、片手でヨーグルトのカップを持ち、もう一方の手でヨーグルトをすくう、食事を皿に盛り付けながらディナープレートを持つ。日常のこうした行動は、通常の生活を再び取り戻す一歩です ( 図1を参照)。

切断手術を受けた患者への一般的なアプローチである手や足の置き換えとは異なり、電動装具では身体に重量が追加されます。つまり、同社のMyoPro® 2+筋電装具の主要な設計目標は、高出力を維持しながら重量を最小限に抑えることとなります。

同社は設計と開発の過程で、着用者が必要以上に余分な重量を運ぶ必要がないように、装具の総重量を計算に入れてパワー機能を最適化することを実現し、これによって肩と首へのストレスを軽減しました。MyoPro 2+電動装具の設計にあたっては、同社は早い段階で、maxon Precision motorによって設計・製造された2つの精密モータを使用することを決定しました。MyoPro 2+は、インプラントを必要とせず、患者の皮膚の表面から直接弱い筋電図 (EMG) 信号を読み取ることで動作します。微弱な信号がmaxonの小型モータを作動させ、腕と手をユーザーの意図する通りに動かします。電気刺激は必要ありません。

図2: 快適さと軽量性に重点を置いたMyoPro 2+は、高効率でコンパクトなモータとコントローラ技術を使用しています。

電動ブレースの肘関節は、高出力密度、高効率、スムーズな動作を実現するmaxon DCX19モータによって駆動されます。これらのモータは、6～35 mmという様々なサイズバリエーションで提供されています。貴金属またはグラファイトブラシ、ボールまたは焼結ベアリングの仕様で入手可能です。MyoPro 2+には、モータのほかにもmaxonの低騒音遊星ギアヘッドが組み込まれています。これにより低騒音の動作が可能になり、日常生活でブレースを可能な限り自然に使用することが可能となっています (図2参照)。

手の操作では、患者の人差し指と中指が一対になって動きます。これにより、安定性とグリップサポートが向上します。使用されているモータはmaxon RE13で、遊星ギアヘッドにも接続されています。RE13モータは、エネルギー効率の高いDC動力として実績を持ち、90%以上の効率を実現します。他のmaxonモータシリーズと同様に、これらのモータは幅広いサイズで提供されており、さまざまなトルクおよび速度要件を満たします。

maxonのDCXブラシ付きモータ、EPOSおよびESCONポジショニングコントローラは、オンラインですぐにご入手いただけます。

MyoPro 2+の試作段階で、MyomoはmaxonのEPOS 50/5およびESCON 24/2コントローラを柔軟な設計プラットフォームとして使用し、装具の動作を測定・調整しました。モータ特性を正しく確保した後、

適切な操作機能と仕様を調整して提供するため、同社はプロトタイプ製造段階で開発された制御パラメータを使用して、独自の軽量回路基板を統合しました。回路基板の小型化、コンパクト化、軽量化により、腕の動きを妨げることなく、コントロールユニットを肘関節の近くに取り付けることができるようなりました。